土地・家屋の相続について
中野区ではことし2月より空家等対策審議会が開かれ、中野区における空き家の実態について、また、空き家の利活用や空き家をふやさないためにはどうすればよいか等、有識者を交えて審議が行われております。
また、国においても全国空き家対策推進協議会が設立され、より一層の空き家対策が進められるものと期待します。
空き家対策においては、行政が空き家対策に取り組むのと同時に、住民の空き家に対する意識を高めることも重要であると私は思います。
ことし区が行った空き家の外観目視調査では、空き家であるとみなした戸建て住宅数は852棟判明しており、このうち登記簿上で所有者を特定できたものは503棟、そのうち宛名なしで返送されたものは66棟とのことでした。
つまり、現状の調査で空き家と判断した件数のうち約半数は、登記簿上正しく相続登記がされていない、あるいは建物の登記がされていない可能性があると考えられます。
相続登記は義務ではないため、相続人が登記を更新しないまま放置されている不動産が全国で増加していると聞きます。
相続登記を行わなかった場合、相続トラブルなどにより改築や売却することもできなくなる場合があり、これが空き家問題の一因であるとも指摘されております。
こうした背景から、国は、相続登記を促進するため、ことし5月に法定相続情報証明制度を新設しました。
この制度により、これまでの複雑かつ面倒な手続が簡素化され、相続手続にかかわる、相続人、手続の担当部署、双方の負担が軽減されます。
また、本制度を利用する相続人に相続登記のメリットや放置することのデメリットを登記官が説明することなどを通して、相続登記の必要性について意識を向上させるとのことです。
今後の空き家化を抑止するための取り組みの一つとして、区民に対する法定相続情報証明制度の周知の徹底を行ってはいかがでしょうか。
また、あわせて、区の戸籍住民窓口等で土地・家屋相続についてのパンフレット等の配布を行ってはいかがでしょうか。
土地、家屋の所有者が死亡した場合は、本来、相続登記を行うか、相続人代表者指定・変更届を提出して納税者を変更する必要があります。
しかし、これらが行われていない場合、都の税務部局が個別に相続人を調査し、死亡者課税としながら納税義務者を変更して納税通知を出すという状況になっています。
特に後者の場合、相続登記を行わなくても納税通知が届くため、相続登記をしないままにしてしまうという危惧が考えられます。
富山県南砺市では、相続登記がされていない土地、家屋については、毎年4月に送付している固定資産税課税証明書に、筆ごとに「未相続」と表記するようにしたそうです。
実際にこの通知により登記がされていないことを知る課税名義人もおり、年に40件程度の問い合わせが来るそうです。
これが相続登記を促し、相続登記が徐々にふえているとのことです。
東京23区においては、東京都主税局から課税証明が発送されるため、このような取り組みを東京都に働きかけてはいかがでしょうか。
質問の回答
土地・家屋の相続について
豊川士朗 都市基盤部長
御紹介のありました法定相続情報証明制度の周知についてでございます。
法定相続情報証明制度は、不動産や預貯金等の各種相続手続を行う際に、登記所が交付する法定相続情報一覧図の写しを用いることにより、各機関に戸籍謄本などの書類の束を提出する必要がなくなるというものでございます。
本制度の活用によりまして、各種相続手続に要する手間や時間の省略が図られ、不動産の相続登記促進が期待できることから、空き家対策の促進にもつながるものと認識をしてございます。
今後、区の窓口等におきましてパンフレットなどを活用した区民などへの適切な情報提供を行うなど、相続登記に関連する専門家や事業者などとの連携を図りながら、本制度の周知を推進してまいりたいと考えてございます。
それから、相続登記促進に向けた取り組みについてでございます。
相続登記が行われていない土地、家屋につきまして、固定資産税の課税証明書に未相続であることを表記することは、相続人に対する一定の意識喚起とともに、相続登記の促進につながるものと認識をしてございます。
他自治体で実施されているこうした取り組みにつきましては、固定資産税の所管である東京都にも情報提供した上で、必要に応じまして都に対する取り組み実施に向けた要望を行うなど、対応を図ってまいりたいと考えてございます。