プログラミング教育について
国は、新学習指導要領の中で、2020年より小学校からのプログラミング教育必修化を打ち出しました。
プログラミング教育のあり方についてはこれまでも検討会議等で議論が行われてきましたが、文部科学省が示しているプログラミング教育の目的としては、子どもたちにコンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、プログラミング的思考などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではないとしています。
現在、中央教育審議会では、子どもたちが学校で何を学ぶのかという学習内容に加えて、それをどのように学ぶのかという学習過程のあり方や、その成果として何ができるようになるのかという資質、能力のあり方が総合的に議論されているところですが、実際の学習内容、学習過程等については、各学校で決めていくこととされています。
2020年からは、プログラミング教育とともに小学校での英語教育が必修化され、英語教育では、小学校3年生から6年生の授業数が年間35単位時間ふえることとなります。
ただし、プログラミング教育の授業時間数というものについては、特に定められてはいません。
英語教育の必修化と同時期に始まることで現場では不安も予想され、教育委員会としては、中野での実施に当たり、国の動向を見きわめながらではなく、早期から実施について具体的な検討を進める必要があると考えます。
プログラミング教育必修化までのタイムスケジュールはお持ちなのでしょうか。
お持ちであれば、詳細を伺います。
また、民間企業等の専門家を交えた中野での実施方法の検討が必要と考えますが、いかがでしょうか。
授業時間数が特に定められていませんが、私は、児童の将来のためには、他自治体のモデルとなるような積極的な実施が必要と考えます。
教育委員会としてはどのようにお考えでしょうか。
各教科で行うプログラミング的思考の学習については、これまでのパソコンやタブレット端末を使用したICT教育の手法とは異なり、国語の授業であれば、国語の中でプログラミング的思考を身につける授業ということになるかと思います。
各教科でプログラミング教育に使用される教材、ツールは、民間企業と教育機関との間でさまざまな開発、研究が行われており、今後の活用について検証されているところです。
平成29年第3回定例会総括質疑の中で、我が会派の木村議員からの質疑に対して、2020年に向けて計画的にICT教育の環境整備を図っていくとの答弁がありました。
ここで言う環境整備には、各教科で活用される教材、ツール等も含まれるのでしょうか。
また、区は、教材、ツール等について、積極的に導入を進める考えはあるのでしょうか。
プログラミング教育に関する有識者会議では、小学校におけるプログラミング教育の実施に当たっては、ICT環境の整備や指導体制の確保等の条件整備が不可欠であるという提言が出されています。
一方で、環境を整備するための費用負担や教員の研修については課題があると考えます。
また、小学校の45分間の授業の中でいかに効率的にプログラミング教育を教えるかということについても工夫が必要であると考えます。
世界を見ると、既に小学生からのプログラミング教育が実践されている国が複数あり、プログラミング的思考を学習する際、コンピュータを使用しないアンプラグドプログラミングという手法が用いられることがあるようです。
この手法は、例えば、カード等を用いたり、ゲームやグループ活動を通しながらコンピュータの基本的な仕組みを楽しく学習していく、また、作文や物語をつくる際に、自分の考えをフローチャートのようにワークシートに書き出し、どう話を組み立てるかなどを行う中でプログラミング的思考を学ぶなどというものです。
私は、こうしたアンプラグドの学習方法は、教育環境に左右されることなく、またゲーム感覚で学ぶこともできるため、特に小学校の低学年にプログラミング的思考を教えるには有効な手法の一つであると考えます。
区としてもアンプラグドプログラミングによる学習方法を導入すべきと考えますが、いかがでしょうか。
我が国において初めて実施されるプログラミング教育の準備に向けて、学習環境や学習方法などを総合的に見ながら、どうすれば子どもたちにとって学びやすい教育システムがつくれるか思索していただきたいと思います。
英語教育について
英語教育については、2020年度より、小学校においては、3・4年生が必修化となり、5・6年生は教科化となります。
中学校においては授業を英語で行うことが基本となり、日本における英語教育のあり方が大きく変わります。
背景には、グローバル化が急速に進展する中で、外国語によるコミュニケーション能力は、これまでのように一部の業種や職種だけでなく、生涯にわたるさまざまな場面で必要とされることが想定され、その能力の向上が課題となっているということがあります。
2020年の英語教育において、私は、教える教員の人材確保、あるいは英語教育の研修などによる負荷等の課題があると考えます。
文部科学省から示されたグローバル化に対応した英語教育改革実施計画によると、小学校中学年の英語教育は学級担任が中心に指導することとなっており、小学校高学年においては、英語指導力を備えた学級担任に加えて、専科教員の積極的活用とあります。
東京都教育委員会によると、現在東京都において英語教育を先行して実施している地域には英語教育推進リーダーを派遣し、英語教育推進リーダーが各校を回りながら外国語活動や教材作成などを行っているとのことです。
しかし、平成32年度全面実施時においては、都内小学校のうち一部にしか専科教員が配置されないという話を聞きました。
この場合、学級担任における英語教育研修を充実させる、また、現在も活用しているALTの活用をさらに工夫するなどの対策をとる必要があるのではないかと考えます。
ことし策定された新学習指導要領ではカリキュラムマネジメントの考え方が示され、その中には、必要な人的・物的体制の確保に学校全体として対応するという旨の内容もあります。
しかしながら、人的体制に学校だけで対応するということは困難ではないかと思います。
英会話について複数の英語教育の専門家に話を聞いたところ、言語は文化的背景の理解とともにインプットとアウトプットの繰り返しにより習得されていくものであり、耳から入った以上の音は聞き取れないし、発音はできないと話をされていました。
つまり、正確な発音を耳から入れないと、聞き取れるようにならないし、また、相手が聞き取れる発信をすることができないということでした。
そうであるならば、研修のみで英語教育の経験のない教師が英語の授業を行うには、相当数の時間が必要となります。
英語教育の教科化についての小・中連携教育のあり方はどのようにお考えでしょうか。
区の小・中連携教育では、乗り入れ授業として、基本的には、小学校では6年生を対象に、中学校の教師が小学校で授業を行うとしています。
英語教育については、5年生まで対象を広げることも含めて、乗り入れ授業の活用を検討すべきではないでしょうか。
質問の回答
プログラミング教育について
田辺裕子 教育長
タイムスケジュールについて
次期学習指導要領全面実施の平成32年度――これは小学校ですけれども、中学校で平成33年度実施をされますが、これに向けまして、全校でプログラミング教育を展開できるよう、現在、移行措置期間における教員研修や学校教育向上事業等の年次計画を立てているところでございます。
今後も文部科学省から示されるタイムスケジュールを踏まえて内容を精査していく考えでございます。
民間企業等の専門家を交えた実施方法の検討について
プログラミング教育における民間企業等との連携については、試験的に取り組んでいる学校もございまして、それらの状況を踏まえて、企業連携のあり方について今後検討することとしてございます。
また、他自治体のモデルになるような実施をということです。
次年度の学校教育向上事業における研究課題としてプログラミング教育に取り組むこととしてございまして、その研究成果を区内小・中学校をはじめとして還元していく予定でございます。
ICT教育環境整備における各教科の教材、ツールについて
現在、小・中学校におけるICT教育に対応した環境整備につきましては、平成32年度に向けて、電子黒板やタブレットパソコン等、ハード面から年次計画に沿って整えているところでございます。
デジタル教科書等の教材、ツールにつきましては、効果的な活用方法を研究し、導入について検討してまいります。
アンプラグドプログラミングによる学習方法の導入について
次期学習指導要領に示されているプログラミング教育については、各学校においてコンピュータや情報通信ネットワークなど情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した中で、学習活動の充実を図るものとしてございます。
まずは、ICT機器を活用したプログラミング教育の実施に向けて取り組んでいるところでございまして、アンプラグドプログラミングの学習方法については、今後研究してまいります。
英語教育について
英語教育の教科化について、小・中連携のあり方についての御質問でした。
学校で英語が教科化されることにより、より一層学びの連続性としての連携が重要になってくると考えてございます。
今後の小・中連携教育の中で、指導方法の工夫や指導計画の整合性等に取り組んでまいります。
また、対象を広げた乗り入れ指導の活用についての御質問がございました。
中学校の授業や教員の専門性になれることを目的とした乗り入れ指導の狙いを踏まえますと、6年生での乗り入れ指導の充実を図ることが重要であると考えてございます。
乗り入れ指導は教科を限定したものではないため、英語教育に限定して5年生に広げることは考えてございません。