地域開放型学校図書館の考え方については、平成21年「図書館の新しいあり方」の中で示され、その後、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)に反映されました。
今回、子ども読書活動推進計画(第3次)素案や統合新校の整備基本構想・基本計画(案)の中でもその用途について具体的に示されています。
全国でも開放型の学校図書館を導入している学校は複数あり、その方針も様々あります。
例えば、札幌市の学校図書館地域開放事業では子ども及び地域の読書活動を盛んにすることとあり、読書を通じて子どもと大人、大人相互の交流を広げる場と位置付けられています。
また、川崎市の場合は、地域における身近な読書の場としての図書室を地域住民に広く開放するとしています。
文部科学省からは、学校図書館を活用した子どもの居場所づくりとして、放課後児童クラブが併設された小学校等において地域の子ども向けの図書館開放を進めるという例も出されています。
今回、区が示した子ども読書活動推進計画(第3次)素案には、地域開放型学校図書館の整備として、地域開放型学校図書館は、未就学の子どもたちが図書館に親しむ機会を増やし、地域の子ども読書活動の推進拠点としますとあります。
一方で、基本的には地域の全ての方が利用できる開放図書館ということも伺っております。
そこで、中野区の地域開放型学校図書館の位置付けについて改めて確認いたします。
地域開放型学校図書館が担う役割と施設の利用対象について伺います。
また、子ども読書活動推進計画(第3次)素案の地域開放型学校図書館の整備の中には、地域開放型学校図書館では図書館司書など専門知識を有する者を配置し、学習環境の向上を図りますとあります。
中野区はこれまで先進的に学校図書館への図書館指導員を取り入れた経緯があります。
区は、平成7年から全ての小・中学校に学校図書館指導員を配置し、児童・生徒に読書の相談やアドバイス、図書に親しみやすい環境づくり、また調べ学習のサポートなど、児童・生徒の読書推進に大きく貢献してこられています。
今後、地域開放型学校図書館を整備していくに当たり、現在の図書館指導員を含め、区は図書館司書の配置についてどのようにお考えでしょうか。
改築される校舎の基本配置案を見ると、開放側図書館の広さは学校側図書館の半分以下のスペースとなっており、この場合、開放側図書館に配置できる蔵書数は約5,000冊程度になると伺いました。
中央図書館を除いた地域図書館の蔵書数と比較すると10分の1以下となり、学校側図書館の蔵書数と比較しても半分以下となってしまうものと思われます。
本の種類はNDC図書分類番号で決められており、本の種類は全部で1,000種類に分けられています。
このような状況で地域開放型学校図書館に幅広い種類の本を配置するとなれば、1分類につき5冊程度の本しか配置することができなくなります。
子ども読書活動推進計画(第3次)素案に示されているような地域の子どもの読書活動推進拠点とするのであれば、学校側図書館は児童向けの蔵書となっているので、開放側図書館の蔵書は未就学児向けの本を中心としてはいかがでしょうか。
伺います。
全国の市区町村では、子どもの読書推進の一環として英語をはじめとしたロシア語、中国語、ハングルなど様々な言語での読み聞かせを行っているところがあります。
幼児期からの語学に取り組ませることを希望する家庭は多いと聞きます。
また、人は聞くことから言葉を覚えていきますが、乳幼児期から外国語による物語を耳を使って理解する読み聞かせはとても意味があることだと思います。
そこで、地域開放スペースに新設する幼児コーナーでは、読書推進の新たな取り組みとしてALTやボランティアの方による外国語の読み聞かせを行うようにしてはいかがでしょうか?
地域開放型学校図書館は、学校の休業日に学校側図書館と開放側図書館をつなげて開放するという計画にもなっています。
学校側図書館の本は閲覧のみで貸し出しは禁止にする方向であることから、学校側図書館のスペースをどのように有効に使うか検討する必要があると思います。
例えば、学校休業日には地域開放型学校図書館において児童が自習しやすい環境にして学習室として開放するなど、有効に活用してはいかがでしょうか?
質問の回答
地域開放型学校図書館のあり方について
田辺裕子教育長
初めに、地域開放型学校図書館の役割と利用対象者です。
地域開放型学校図書館は、区民の利便性の向上を図るとともに教育活動や読書活動の推進を図ることを目的に設置するものであり、区立図書館とシステムを統合し、相互利用を可能にするものでございます。
施設面におきましては、当該校の児童が優先的に使用する時間帯や区画を設け、その他の時間帯や区画においては区立図書館と同様に子どもたちを含め一般区民の利用に供するものでございます。
さらに、授業の一環として児童が一般開放の部分についても利用できるようにするものでございます。
続きまして、職員の配置です。
地域開放型学校図書館は、区立図書館とも連携した読書活動を展開することとしていることから、指定管理者による運営が効果的と考えてございます。
また、学校図書館の機能に加え区立図書館としての機能も求められることから、学校図書館指導員としての役割と図書館司書との役割とをあわせて担える専門性のある人材を配置して運営したいと考えてございます。
続きまして、蔵書構成でございます。
学校図書館としての蔵書の充実や子ども読書活動の推進を図ることとあわせて、区立図書館の一環として他の図書館の蔵書も借りることができるシステムとすることを前提に、各学校の蔵書構成について今後検討してまいります。
続きまして、外国語の読み聞かせについての御質問です。
ボランティアを活用した取り組み等を進めていくことを考えてございますが、今後設置の趣旨に合わせどのような事業が必要か検討してまいりたいと考えています。
最後に、自習スペースの確保という御質問でした。
地域開放型学校図書館の活用方法や利用のあり方については、事業の具体化を図る中でそれに適したスペースや設備についても明らかにしてまいりたいと考えてございます。