次に、統合新校の学童クラブについて伺います。
学童保育は、1997年に放課後児童健全育成事業として法制化されたことにより、当時全国では9,048カ所だった学童保育実施箇所が10年後の2007年には1万6,668カ所にふえ、2016年には2万7,638カ所へと増加しました。
また、2016年時点の入所児童数は107万人を超え、潜在的な待機児童数は40万人以上とも言われています。
共働き家庭やひとり親家庭が増加している中で子どもたちが就学後も安心して過ごせる学童保育の需要は全国的に高まっています。
現在、中野区においては、児童館で実施されている学童クラブが17カ所、小学校内でのキッズ・プラザで実施されている学童クラブが8カ所、民間施設で実施されている学童クラブが9カ所ありますが、区は子ども・子育て支援施策の今後の展開の中で、小学生の放課後対応として、全ての小学生が放課後等を安全・安心に過ごし多様な体験や活動を行う場として、全小学校にキッズ・プラザと学童クラブを設置し、一体型の運営を行うと示しました。
既に現時点においても複数の学童クラブで待機児童が出ている状況でありますが、統合することにより再編後の学校に入る学童クラブの定員は単純に計算すると足りなくなります。
これから統合が始まる学校について学校内に新設する学童クラブには利用したい児童が全員入れることが望ましいと私は思いますが、統合新校にはそのスペースが確保できるのでしょうか。
確保できない場合、他の場所に民間学童クラブを同時に誘致する計画で進められているのでしょうか。
あわせて伺います。
また、学校以外の場所に誘致する学童クラブについては、学校内の学童クラブに入れなかった利用者の補完ということだけではなく、利用者ニーズを調査しながら配置する場所などを考慮して誘致するということも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
伺います。
子どもたちが学童クラブで過ごす時間は、学校で過ごす時間と比べて年間平均で400時間以上も多いと言われています。
学童クラブでは、学年の異なる児童が同じ空間で家族とは違う時間を過ごすため、場所の広さや長い時間を過ごすための生活としての場をつくることが大事であると私は思います。
また、子ども・子育て支援施策の今後の展開の中には、民間の活力を生かした魅力的な活動を展開するため、民間事業者に委託し運営するとも示しています。
近年、民間の学童では塾業界などが参入するなど、教育に力を入れているところやスポーツに力を入れているところ、社会につながる人間力を養成するところなど、多様なサービスが行われています。
自治体においても、例えば、江戸川区では、地域住民に募集をかけ、英語などの勉強からお茶やお花、囲碁、将棋などの趣味に関することまで得意分野を幅広く教えているようなところもあります。
再編により改築される校舎には地域開放施設が整備され、より地域密着型の施設になるものと思います。
ここに入る学童クラブについては、運営する民間事業者と協議の上で地域住民やボランティアの方から講師を募集するなど、民間と地域協力型の学童クラブとしてはいかがでしょうか。
伺い、この項の質問を終わります。
次に、災害時支援の取組みについて伺います。
我が国の災害発生時の対応は、これまで基礎自治体が都道府県に支援を要望し、更に都道府県が国に要望をする「プル型」の支援が基本でした。
東日本大震災の際には基本的にこのプル型での支援が行われており、現地からのニーズに応じた形での物資供給が行われました。
プル型での場合、必要な支援物資を無駄なく提供できる利点がある一方、被災直後の混乱の中ではニーズ把握に時間を要し、結果的に物資供給が遅れる欠点があります。
昨年4月に発生した熊本地震の際には、プル型の支援ではなく、国が主体となって物資供給を行う「プッシュ型」の支援が初めて本格的に行われました。
プッシュ型の場合、現地のニーズが把握できない状況でも迅速に物資供給をすることができる一方で、物資を受け取る側の事前の調整不足や物資の調達状況が把握できていないために24時間体制で職員が待機しなければならなかったというような課題が見られました。
避難所運営については、他自治体からの応援を受け入れることはできたものの、基本的には被災地の職員が中心となったため、被災自治体職員の負担が大きく、また避難者住民による自主的な運営も少なかったようです。
さらに、運営を行う自治体職員と住民との対立構造になってしまうなど、避難所運営についても混乱が大きかったということです。
これまでは支援物資が避難所に届くことを前提に防災計画をつくられている自治体も多いと思いますが、これからは支援物資が避難所に確実に届くような仕組みをつくる必要があります。
また、避難所運営についても、被災自治体職員や住民による運営だけではなく、外部からの応援職員や外部の民間によるアウトソーシングも考えるべきです。
この熊本地震での教訓を踏まえ、現在、内閣府において「災害時における受援体制に関するガイドライン」の素案がつくられており、3月にはガイドライン案が示される予定となっています。
区が来年度策定する受援計画は、国のガイドラインや都の計画などと整合性を図るだけでなく、近隣の動向を確認し競合を避けるよう策定する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
伺います。
熊本地震では、人的応援の受け入れについて具体的な計画がなかったため、他自治体等からの応援職員の受け入れや受け入れた応援職員の活用についても混乱があったとされています。
区が策定する受援計画には人的応援について具体的に定める必要があると考えますが、いかがでしょうか。
伺います。
被災自治体での情報収集についても深刻な課題があったとされています。
避難者数の早期把握が困難であったり、避難者報告が多重になる、また車中泊の数や自主避難者数の把握ができないなどの状況があったそうです。
また、内閣府より自治体へ救援物資を要望するために支給されたiPadについては、事前の訓練不足や操作性の制約などによる問題もあったそうです。
熊本地震での被災自治体職員の間では日常的に使用しているSNSで情報共有をしていたところもあると聞きます。
こうした誰でもすぐに使えるツールというのは災害時にも活用しやすいと感じます。
区が推進している個別避難計画に基づく避難行動要支援者の安否確認は、現状では支援者の方が安否確認結果を口頭で各避難所へ報告するという方法を前提としているため、報告の確認や集計に多大な時間を要することも想定されます。
安否確認報告を迅速化するためだけに新たなITツールを開発することは効率的ではないことから、民間の安否確認サービスやSNSなど、既に社会で普及しているITツールを活用し、安否確認報告などの迅速化を図ってはいかがでしょうか。
伺います。
この項の最後に、水害から要配慮者を守るための対策について伺います。
先日、2月10日に水防法等の一部を改正する法律案が閣議決定され、この中で洪水や土砂災害のリスクが高い区域に存する要配慮者利用施設について避難確保計画作成及び避難訓練の実施を義務化していくということが示されています。
背景としては、近年全国各地で洪水等の水災害が頻発・激甚化しており、特に平成27年9月の関東・東北豪雨や昨年8月に北海道・東北地方を襲った台風10号等の一連の台風では住民の逃げ遅れや家屋の浸水により甚大な被害が発生しました。
このため、国土交通省では、一昨年来、施設では防ぎ切れない大洪水は必ず発生するものとの考えに立ち、「洪水等からの逃げ遅れゼロ」と「社会経済被害の最小化」を実現するための抜本的な対策を講ずることとなりました。
今回これに該当する要配慮者利用施設において避難確保計画と避難訓練の実施が義務付けられた場合、区としてこれまでの避難計画や訓練での経験をもとに要配慮者施設への指導や助言を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
伺って、この項の質問を終わります。
最後に、情報セキュリティ対策の強化について伺います。
今回、区の元臨時職員が個人情報保護に関する条例違反の疑いで逮捕される事案があり、報道でも大きく取り扱われました。
今回の件ではセキュリティ対策の重要性について改めて認識させられました。
情報漏えいには、サイバー攻撃などによる外部からの要因によるものと、使用する側の内部の人的要因によるものがあります。
人的要因には、パソコンの誤操作や紛失によるもの、情報セキュリティ機器の無知による安易な取り扱いから起こるもの、また意図的な悪意ある行動によるものなどがあります。
人的要因による事故・事件を未然に防ぐための対策として、一つにはeラーニング等による定期的なセキュリティ教育の継続があります。
情報の取り扱いに対する危機意識を高めることやルールや手順などを徹底することにより情報漏えいのミスを防止すること、またセキュリティ事故や事件を起こすことによる社会的責任やリスクを各個人が学ぶことで遵守すべき内容をより一層深く理解していく効果があります。
ただし、eラーニングの取り組み方については、個人任せにしてしまう場合、内容をしっかり読み込んでいなかったり、深い理解に至らないケースもあるかと思われます。
今回の事案の再発防止策として、区は臨時職員任用時研修を制度化していくとのことですが、今後、セキュリティ教育に関する集合研修については常勤職員だけではなく臨時職員も含め対象を広げていくべきと考えます。
その上で、個人情報を扱う可能性のある職員については、常勤職員、臨時職員にかかわらず、扱う情報に応じたセキュリティ教育をeラーニング等により定期的に継続して実施するべきと考えますが、いかがでしょうか。
伺います。
また、最新のインシデント事例や最新のセキュリティ脅威の情報が発信された際には、その都度メールや紙媒体を用いて情報共有を行い、注意喚起を促すべきと考えますが、いかがでしょうか。
伺います。
人的要因による事故・事件を未然に防ぐためのもう一つの対策として、区が現在取り組んでいるISMS認証取得による組織全体での情報セキュリティレベルの向上があると考えます。
今回の場合、ISMS認証取得の取り組みを行う前のことであったと伺っています。
ISMS認証取得には組織全体のルールや手順の見直しだけでなく、組織全員が認証取得に向けて情報セキュリティマネジメントを理解していくことが必要なため、セキュリティ事故防止にも大きく影響するものです。
ISMS認証取得は内部のセキュリティ強化だけではなく、外部に対する信頼度向上の意味もあり、外部への信頼度向上という点では迅速で的確なインシデント対応もセキュリティ強化に必要なことであると思います。
そこで、今回の事案を受けて全庁一斉点検が行われましたが、外部委託している個人情報の取り扱いについてはどのような対応が行われたのでしょうか。
伺い、以上で私の全ての質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。